何らかの文章を書いたことがあれば、校正が必要だったのではないでしょうか。校正サービスを利用したことがあれば、校正とは複雑なプロセスを有していること、さらに校正の中にもさまざまな種類があることに気づかれたことでしょう。コピー・エディティング、ライン・エディティング、サブスタンティブ・エディティング、メカニカル・エディティング、ディベロップメンタル・エディティングなど、執筆文書に行われる校正(エディティング)にはさまざまな種類があります。アカデミック・エディティングや、ジャーナル・エディティングは、こうしたサービスを提供している会社などに作業依頼することもできますが、それぞれのエディティングは何が違うのでしょうか。自分が書いた文章にどのような校正をすべきなのか、どうやって判断すればよいのでしょうか。ここでは、それぞれの校正タイプがどう違うのか、何をするものなのか見比べ、どのタイプの校正サービスを頼めばよいのかを常に見極められるようにしましょう。
主な校正5タイプ
名称(呼ばれ方)に若干の違いがあるかもしれませんが、文書に対する主な校正のタイプとしては一般的には下の5つが挙げられます(順不同)。
- ディベロップメンタル/サブスタンティブ/コンテンツ・エディティング(Developmental, substantive, or content editing)
- ストラクチュラル・エディティング(Structural editing)
- コピー・エディティング(Copy editing)
- ライン・エディティング(Line editing)
- メカニカル・エディティング(Mechanical editing)
これら5つの校正はどう違って、それぞれどの段階で必要とされるのでしょうか。これらの校正は、どれも文章の改善において重要な役割を担っており、通常、素案から最終版に向けて文章を作り上げていく段階で行われるものです。対象とする文書の種類によって、どの段階でどの校正を行うか、重複する場合があるかもしれませんが、多くの場合はそれぞれの校正が必要な校正の段階を明確に区別することができます。
大規模な校正:ディベロップメンタル・エディティングとストラクチュラル・エディティング
ディベロップメンタル・エディティングは、本質的な、あるいはコンテンツそのものの校正で、通常は、原稿の校正の流れの中でも最初に行われるものです。このタイプの校正は、書籍や学術論文、研究論文、記事に施され、執筆された文章の内容をしっかりと見極めます。サブスタンティブ・エディティングは、全体を考慮し、校正対象の文章や書籍の筋が通っているか、流れに沿って書かれているか、著者の考えは明確に組み立てられて表現されているか、論理的に大きな穴や欠陥はないか、といったことを確認します。こうした校正を行うべく、サブスタンティブ・エディティングのサービス提供者に作業を依頼する場合、校正者(エディター)は検討を促し、大きな変更を提案してくることがよくあります。さらに、セクションを削除したり、情報を追加したりすることも提案してくるかもしれません。
ストラクチュラル・エディティングは、ディベロップメンタル・エディティングと合わせて、あるいは別のプロセスとして行ったりします。サブスタンティブ・エディティングを提供している会社は、これらの校正を合わせて提供しているものがよく見受けられます。ストラクチュラル・エディティングのエディターは、物語、研究論文、記事の構成がしっかりしているか全体を確認します。論理的な流れやスタイル、トーン(論調)、そして執筆された文章の一般的な品質を重点的に見るのです。ディベロップメンタル・エディティングあるいはサブスタンティブ・エディティングのように、ストラクチュラル・エディティングでも文章全体を確認します。これらの校正は、書かれた文章や原稿を、上手に書かれ、かつよく整理されたものにするためには欠かせないステップなのです。
次のステップ:ライン・エディティングとコピー・エディティング
執筆した文章の構成、内容、論理的な流れに満足できたら、次は、ライン・エディティングとコピー・エディティングに進みます。コピー・エディティングには、スペルや句読点の使い方の修正も含まれますが、エディターは通常、文法、単語の選択、ライティング全体の質の向上により重点を置いた確認を行います。コピー・エディティングのサービスを依頼した場合、エディターは校正対象の文章が受動態で書かれた部分を能動態に修正し、過度に長い表現あるいは不適切な言い回しなどを書き換えるでしょう。アカデミック・エディティングのコピー・エディティングを依頼した場合、エディターは論文が引用スタイルに準じて適切に書かれていること、そして参考文献がきっちりと整っていることなどを確認します。また、文書全体のトーンとスタイルが一貫しているか、想定する読み手に適したものになっているかも合わせて確かめます。
ライン・エディティングは、コピー・エディティングに非常に近いものですが、幾つかの重要な違いがあるため別のステップと言えます。ライン・エディティングとは、エディターが文章の一行ごとに確認することが名前の由来となっています。単語の選択や文章における効果を注意深くチェックし、文章が明確かつ雄弁に書かれたものになるよう磨きをかけます。エディターは、決まり文句のように見える言い回しを拾い出し、前後の文章に合わせた修正を提案します。明瞭さを重視し、文書を簡略化させることで、意図をはっきりさせつつ、過度に複雑にならないようにします。
ライン・エディティングとコピー・エディティングは両方とも執筆された文章を洗練させ、磨きをかけるために重要です。この二つの校正は、書かれた文章がどのようなものであれ、大切なステップなのです。
仕上げの校正:メカニカル・エディティング
自分の書いた文章の構成、内容、一貫性、スタイル、全体の流れ、文法、さらに単語の選択まで見直しが終了したら、最後に残された校正はメカニカル・エディティングです。メカニカル・エディティングでは、スペル、文法、句読点の使い方、書式設定を確実なものとするための校正を行います。アカデミック・エディティングであれば、メカニカル・エディティングの段階で、論文がスタイルガイド(MLA、APA、シカゴスタイルなど)に完全に準拠して書かれているかを確認します。エディターは、論文を注意深く読み、大文字小文字の表記や略語の一貫性、句読点の使い方などを確認していきます。コピー・エディティングのサービスによっては、コピー・エディティングと合わせてメカニカル・エディティングを行っているところもあります。ただし、これら二つの校正は同じものではないので、校正サービスに依頼するとき、どちらか一方が必要なのか両方の校正が必要なのかを必ず指定するようにしてください。
これら全ての校正が終了した際には、論理的に構成され、情報漏れや流れが滞る部分もなく、明瞭かつ簡潔に書かれた素晴らしい論文が仕上がっていることでしょう。さまざまな校正には重複する部分もありますが、それぞれ全く異なるものです。こうした違いを踏まえ、アカデミック・エディティングのサービスを提供している会社に依頼をするとき、あるいはエディターに作業を依頼するとき、自分の論文にどのタイプの校正が必要なのかをはっきり伝えられるようにしておくことが重要です。そうすれば、論文が必要とする内容に注力した校正を確実に行うことができるでしょう。