修正、英文校正、プルーフリーディング(添削/校閲)とは、どれも同じようなものだと思っている人が多いことでしょう。ところが、これらはまったく別のものです。実際、論文の修正、英文校正、プルーフリーディング(添削/校閲)には、それぞれ異なるスキルが必要とされ、作業ごとの目標に向けてはっきりと異なるプロセスが定められています。見直し(レビュー)を行う文章の種類によって作業が重複することもありますが、プルーフリーディングを修正で、またはプルーフリーディングを校正で代用できるということはありません。どのような文章を、どの言語で執筆しているかに関わらず、修正、英文校正、そしてプルーフリーディングの全てが、原稿を完成させ、投稿、または出版する前に行うべき重要な作業です。これらの作業の違いを比べ、それぞれの作業をどの順で行うのかを見てみましょう。
全体像を見る「修正」
原稿の修正とは、いわゆる「全体像」を踏まえて、執筆した原稿の弱い部分や、変更あるいは削除や加筆をすべき情報または文章を特定することです。原稿の修正を行う際には、一般的に以下のことに重点を置いて作業を行います。
- 書かれた文章が意図した目的を達成しているか
- 書かれた文章は論理的な流れに沿っているか
- ひとつの思考(考え)から次の思考にスムーズにつながっているか
- 重要な情報が漏れていないか
- 不要な情報は最小限に留められているか
上に書き出した項目からも分かるように、修正作業の目的はその文章の内容を確認することです。修正では、著者の考えがターゲットとする読者にどれだけ上手く伝えられるかを重要視します。自分が書いた原稿を自分で修正する場合には、初稿を完成させてから修正作業に取りかかるまでにしばらくの時間をあけることをお勧めします。というのは、少し距離を置くことで、自分で執筆した文章をより客観的に見直せるようにするためです。執筆に取りかかる前にアウトライン(概要)を作成していれば、意図したように書かれているかをアウトラインと照合しながら確認し、論文を修正するのに役立つでしょう。目的を達成するために修正したほうが良いと思った場合は、躊躇なく部分的に削除したり加筆したりしてください。論文の修正が完了し、全体の内容と構成に満足できたら、次のステップである校正に進みます。
文章を洗練させる「英文校正」
論文の修正が終わったら、校正に進みます。校正の目的は、明確かつ流れのよい表現で書かれているか、そして不適切な、または紛らわしい言い回しがないかを確認することです。特に、英文校正では、受動態の使い方や、削除または校正が必要な無終止文(不適切につなげた文章)がないかなど、以下にあげる点に注視して確認します。
- 言葉が正しく使われているか
- 文法は正確か
- 文章が明確かつ簡潔に書かれているか
- 過剰に長く続く文章はないか
- 受動態は最小限に抑えられているか
英文校正および一般的な校正作業の主目的は、ひとつひとつの文章を注意深く読み、それぞれの意図が正確に伝わっているかを確認することです。分かりやすく書かれていますか?スペルや文法、句読点の使い方など技巧的に的確ですか?文章全体を通して同じ論調で書かれていますか?読者に適した文章のスタイルで書かれていますか?原稿が学術関係者向きに書かれたものであれば、多くの用語を説明する必要はありませんが、一般の人向けに書くのであれば、専門用語には説明が必要です。校正を行うときには、このような点に考慮しなければなりません。
校正は単純な作業のように思われるかもしれませんが、実際にはとても集約的な作業ともなるものです。特に、英語が母国語ではない人の多くは、自分の考えを英語で上手に表すのに苦労しています。そして、それが英文校正サービスの需要が増えている理由です。自分で英文校正ができないなら、代わりに校正作業を行ってくれるさまざまな校正サービスを利用することができます。英語を母国語とする校正者が、論文を精査し、言い回しや全体の文章の質を向上させるための策を提案してくれるでしょう。
最終確認「プルーフリーディング(添削/校閲)」
原稿の修正と校正ができたら、最後はプルーフリーディング(添削/校閲)を行います。プルーフリーディングとは、最後にもう一度論文を読み、見逃したかもしれないミスを見つけ出す作業です。そのようなミスは本質的には軽微なものですが、きちんと修正しておくことが重要です。見つけ出しにくい場合もあるので、多くの人はプルーフリーディングのサービスを利用しています。英語のプルーフリーディングサービスでは、原稿を読み、以下のような項目を確認します。
- スペルミスがないか
- 誤植はないか
- 句読点は適切な位置に付いているか
- 大文字・小文字の表記は的確か
- 言語スタイル(英語/米語など)は一貫して書かれているか
プルーフリーディング(添削/校閲)は単純な作業ですが、時間がかかり、難しい場合もあります。プルーフリーディングを行う人の多くは、原稿を後ろから読んだり、特定のミスをひとつずつ探したりと工夫を懲らしつつ作業を行っています。論文の執筆、修正と校正にあれほど多くの時間を費やしてきたのだから、プルーフリーディングは要らないと思うかもしれません。どのようなミスが残されていると言うのか?なぜ英文のプルーフリーディングサービスが必要なのか?これらの問いかけへの返答は、著者が想像するよる多くのミスがあるので、プルーフリーディングは必要だということです。英文のプルーフリーディングのプロは、カンマの抜けや、アメリカ英語で書かれた論文の単語がイギリス英語で書かれているといったスペルミスを見つけて修正します。
修正・校正・プルーフリーディング(添削/校閲)の違い:比較表
論文の修正、校正およびプルーフリーディング(添削/校閲)の違いと、プルーフリーディングと英文校正を専門とするサービスを利用するメリットは掴めたと思います。プルーフリーディングや英文校正サービスを業者に委託している場合には、それぞれの作業の違いを把握し、何を要求するかを知るために下の表を参照してください。
確認項目 | 修正 | 校正 | プルーフリーディング(添削/校閲) |
論理的な流れ | O | X | X |
文法のミス | X | O | O |
スペルミス | X | O | O |
無終止文(非文法的な表記) | X | O | X |
意図した読者向けの書き方になっているか | O | X | X |
句読点の使い方 | X | O | O |
不要な情報の有無 | O | X | X |
不自然な言い回し | X | O | X |
つながりの悪い文章構成または文章転換ができていない箇所 | O | O | X |
誤植 | X | O | O |
自分で書いた論文の修正、構成、さらにプルーフリーディング(添削/校閲)を自ら行うとしても、英文校正サービスまたはプルーフリーディングサービスに依頼するとしても、それぞれの作業の内容となぜこれらの作業が重要なのかを理解した上で行うようにしてください。上述のステップ順に進めれば、毎回素晴らしい論文を仕上げることができるでしょう。