ついに論文が書き終わりましたか?それとも、大きな助成金の申請書を提出する準備が整いましたか?自分では完成したと思っている論文や申請書であっても、英文校正やプルーフリーディング(添削/校閲)をしていなければ、実質的な提出準備が整ったとは言えません。英文校正とプルーフリーディングは、執筆作業において、原稿を一般読者(あるいは上司や将来の研究資金提供者)に読んでもらう準備として必要不可欠な作業です。校正とプルーフリーディングには幾つかの重要な違いがあるので、それを確認していきましょう。ここでは特に、英文校正と英語プルーフリーディングに焦点を当てていますが、複数の言語で読み書きができる人もこの2つの作業を侮らないでください。校正とプルーフリーディングは、どの言語で執筆しているか、それが母国語であるかないかに関わらず重要です。
英文校正とプルーフリーディング(添削/校閲)とは、どのような作業なのか?
英文校正とプルーフリーディング(添削/校閲)は、同じプロセスにおける2つの異なるステップだと考えることもできます。そのプロセスとは、文書を精査し、洗練された、適切でミスのない文章にするために手を加えることです。英文校正とプルーフリーディングを両方行うことで、違う角度から論文を改善していくのです。
英文校正で確認する内容
英文校正で確認する内容は、英語のプルーフリーディング(添削/校閲)より若干広く、以下のような点も含め(ただし、これらに限定されずに)さまざまな変更に関わってきます。
- 英文法のミスを修正する
- 文章を短く明確に編集する
- 長文を分割する
- 受動態を能動態に書き換える
- スタイル(書式)とトーン(論調)に一貫性を持たせる
- 思考(考え)と別の思考との間のつながりの悪い文章構成または文章転換ができていない箇所を修正する
校正者が作業を行う際は、文章の書かれた目的とその文章を読ませたい読者について知りたいと思うはずです。英文校正サービスに作業を依頼した場合、校正の対象となっている文章がどこに公開・出版され、どのような読者を対象としているのかを聞いてくるはずです。校正者は、著者からの答えに応じてどのような手を文章に加えるかを決めます。例えば、ワクチンの製造に関する科学的な知見を一般向けに書いた文章だとすれば、校正者は難しい専門用語に説明を付けたり、もっと平易な言葉に書き換えたりするように助言してくるでしょう。論文の公開場所に応じて、文章の言葉をよりフォーマルにしたり、カジュアルにしたりといった修正も行います。通常、校正者は文章を読んでから変更を加え、コメントを残してくれます。
プルーフリーディング(添削/校閲)で確認する内容
一方の英文プルーフリーディング(添削/校閲)の作業範囲は、英文校正より限定されており、一般的な作業目的は以下のようなものとなります。
- スペルミスを見つけて修正する
- 句読点が適切な位置に入っているかを確認する
- 大文字・小文字の表記、さらに略語の表記について一貫性があるかを確認する
- 校正者が見落とした微細な文法ミスを修正する
当然、校正者もこれらのミスを見つければ修正しますが、文章全体を通してOxford Comma(訳者注:3個以上の並列表記において最後の項目の前の and や or の前にコンマを付けること。コンマの有無で文の意味が変わることもあるが、英語圏でも必須というわけではないとの意見もある。)が適切な位置に挿入されているかといったような、特殊で厄介なミスを見つけることは重視していません。英語を母国語としない人が、英語を母国語とする人(ネイティブ)にプルーフリーディング(添削/校閲)を依頼して、間違いを探してもらうのはよくあることです。英語ネイティブのプルーフリーダー(添削者/校閲者)は、ネイティブ以外が見落としているミスを簡単に見つけることができる強みがあります。それでも、プルーフリーダーはこのプロセスを簡略化するためにさまざまな工夫を凝らしています。多くのプルーフリーダーは文章を繰り返し読み、その都度、特殊な間違いを探していきます。また別の人は、文章を後ろから読んだり、セクションごとに読んだりして、何か見逃していないか確認することもあります。
英文校正とプルーフリーディング(添削/校閲者)はどのタイミングで行うものか?
論文の見直しをするために専門の英文校正に頼むか、ネイティブの英語プルーフリーディング(添削/校閲)を頼むかは、対象の原稿が執筆プロセスのどの段階にあるかによって異なります。まだドラフトを書いたばかりで、数箇所の修正を行ったものの、文章を磨き上げる必要があると考えている段階であれば、プロの英文校正に見てもらい、必要な変更や提案を出してもらうのがよいでしょう。すでに論文の校正が終わり、もう少しで完成という段階であれば、英語ネイティブのプルーフリーダーを探して、執筆した原稿を注意深く読み直し、ミスのない最終稿になるように確認してもらうのがよいでしょう。
英文校正と英語プルーフリーディング(添削/校閲)の簡単な比較表を以下に示します。英文ライティングのそれぞれの段階で何を完了させているようにするのか把握しておくことは、英文校正が必要なのか、プルーフリーディングが必要なのかを判断するのに役立つはずです。
文書に必要なこと | 英文校正が必要 | プルーフリーディング(添削/校閲)が必要 |
スペルチェック | ||
文法の修正 | ||
スタイルの一貫性 | ||
無終止文の確認 | ||
句読点の確認 | ||
適切な言葉の選択 | ||
大文字・小文字表記の一貫性 | ||
不自然な言い回しの修正 | ||
略語の一貫性 |
英語ネイティブの校正者または英語プルーフリーダーは必要か?
世界共通語である英語は、校正とプルーフリーディングの需要が高い言語のひとつです。端的に言えば、明確で読みやすく、説得力のある文章にするためにプルーフリーディングや英文校正を必要とする英文ライティングが大量に存在しているということです。英語は世界中で共通に使われている言語であるため、さまざまな種類と使われ方があり、どれも間違いではありません。つまり、英語には「正しい」スタイルはないのです。英語の種類ごとの規則や慣習に従っていくしかありません。
厳しい言い方をすると、英語ネイティブの人が素晴らしい校正者であるとは限りません。反対に、英語ネイティブではない人が素晴らしい校正者であることもあります。とはいえ、英語ネイティブなプルーフリーダーやプロの英文校正者によるサービスを利用することは、個人的にネイティブスピーカーにチェック作業を頼むのとは全く別です。多くの英文校正サービス業者は、スキルと長年の経験を持つ対象分野の専門家を有しています。また、英語のルールや慣習の細かい点にも鋭い目を向け、英語の種類によってどう異なっているかの知識を有している英語ネイティブの校正者、プルーフリーダー(添削/校閲者)を採用しています。経験豊富な研究者、著名な作家、あるいは新入生など誰であれ、執筆した文章の校正とプルーフリーディングの両方を行うことは、その文章の質を高め、結果として恩恵を得ることになるでしょう。