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論文の英文校正テクニックとコツ

Enago
By: エナゴ

May 23, 2022

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英文校正に不慣れでも、既に長年の経験を有している場合でも、英語論文の英文校正は難しいものです。英文校正を行うときに何をチェックすべきか?どの文体を選べばいいのか、どこが文法的に間違っているか?特定の引用スタイルに準じて文書を整えるとはどのような意味なのか?文章の書式(フォーマット)について注意しておかなければならないのか?スペルチェックさえやっておけば大丈夫なのでは?英文校正という面倒な作業をしているのであれば、これらの問いかけに対する答えをすべて知っておく必要があります。そんな時のために、ここに校正作業の効率とその質を向上させるのに有益なヒントと便利な手法をいくつか紹介します。

英語における英文校正とは何をするものか?

そもそも言語の校正とは何をするものか?言語の校正とは、書かれた文章を精査し、技術的にも正確かつ、分かりやすい文章になっているかを確認するプロセスです。英文校正と言えば、英語で書かれた文章を校正することを意味します。良い英文校正を行うには、スペルや文法、句読点の使い方なども含めた英文ライティングの基礎をしっかりと理解しておく必要があります。さらに、さまざまな種類の英語やライティング・スタイル(書式)の違いも把握しておかなければなりません。世界の共通語である英語は、たくさんの国で多くの人に使われている言語であるため、何が「正しい」のかという点で、他の多くの言語に比べて意外にも柔軟性のある言語なのです。

英語を母国語とする人たちが話す英語でも、国によって違いがあり(例えば、アメリカ英語とイギリス英語やオーストラリアで使われている英語など)、ある国では「正しい」英語の使い方も、他の国では「誤った」英語の使い方となってしまうことすらあるのです。アメリカ英語とイギリス英語ではスペルが異なることはよく知られていますが、他にもいろいろな違いがあります。例えば、アメリカ英語の話者は「in the hospital」と言い、イギリス英語の話者は「in hospital」と言いますが、どちらも「正しい」表現です。オーストラリアでは警察署に行くことを「attend」としますが、アメリカでは「visit」が使われます。そのため、読ませる対象が誰なのか、読み手がどこにいるのかによって、英文校正には違いが出てくるのです。

英文校正はどこから手を付ければよいのか?

いざ英文校正を始めようとしても、すぐにできるものではありません。英文校正に着手する前に確認しておくべき幾つかの大切なポイントを抑えておけば、校正作業を進める際の指針となるでしょう。自分の書いた論文であれ、他の人の論文であれ、英文校正を行う場合は、以下の項目に注意しなければなりません。

  •  引用スタイル:アメリカ心理学会出版マニュアル(APA)、シカゴ・マニュアル・オブ・スタイル (CMOS)、米国現代語学文学協会(MLA)
  •  対象読者(論文の読者は誰か)
  •  論文を執筆する際の英語の種類(イギリス英語かアメリカ英語か)

論文を書くときの引用スタイルとは、引用する際の書き方を指定しているだけでなく、見出しや参考文献の書き方、句読点や大文字・小文字などの使い方を定めたものです。例えば、シカゴスタイルでは、ピリオドとコンマは引用符の内に付け(”like this,”)、セミコロンとコロンは引用符の外に付けます(“like this”:)。これに対してAPAでは、コンマ、ピリオド、コロン、セミコロンを引用符の内側に入れるように指示しています。さらに、英文校正を行う際には、英語の種類によるスペルや句読点の付け方の違いにも注意が必要です。イギリス英語では、「‘」シングルクォーテーションマーク(一重引用符)がよく使われますが、アメリカ英語では「“」ダブルクォーテーションマーク(二重引用符)しか使いません。

また、対象読者によって、どの程度技術的な書き方ができるか変わってくるので、それに応じたレベルの書き方にします。例えば、学術雑誌(ジャーナル)用に書かれた論文であれば、主題についてよく知られている用語や略語の説明は必要ありません。むしろ、正確な英語で客観的な言葉で書くこと(「私」や「私たち」といった主観的な記載を最小限にするなど)が好まれます。一般向けに書かれたブログであれば、初出時に略語の説明を入れ込むべきです。例えば、知的所有権に関する仕事をしている弁護士であれば誰もがWIPOが世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organization)の略称であると知っているかもしれませんが、一般的に知られているとは言えません。ブログのような文章にはこうした専門的な用語や略称などの説明が必要ですが、書式はそれほど重要ではないので、会話形式で書くこともできます。

どうすれば効率的な英文校正ができるか?

英文校正者は、経験を積みながら独自のやり方と技法を身につけていきます。英文校正で最も重要なのは一貫性を保つことです。文章の校正を行う際、スタイルの一貫性、技巧的な正確性、さらに適切な書式を保つための作業の流れを以下に簡単に示します。

  1. 文章を受け取ったら、最初に予備的なスペルチェックを行います。スペルチェックを始める前に、文書がどこに向けて(イギリス、アメリカ、オーストラリア、あるいは他の国)書かれたものか確認しておきます。
  2. まず、文章全体に目を通し、見出しや小見出しの形式を見て、必要に応じて太字にする、イタリックにする、番号を付けるまたは取るといった修正を行います。
  3. 繰り返し出てくる言い回し、受動態、動詞の時制の使い方(過去形、過去完了形など)に不適切な点がないかを確認していきます。受動態の文はできるだけ能動態に書き換え、長すぎる文章は短い文章に分割します。
  4. 文章が技巧的に正しいかを確認します。コンマスプライス(接続詞を使わずにコンマのみで文書をつなぐこと)、コロンやセミコロン、複数形が正しく使われているかを確認します。
  5. 注意深く読み直し、スペルチェックでは拾い出せないタイプミスやスペルミス(toの代わりにtooと書かれていたり、forの代わりにfourとなっていたりする場合はスペルチェックでは見つかりません)を確認します。
  6. 校正者にとって非常に有用な「検索」と「置換」機能を使って、句読点や単語、大文字・小文字などの修正を行います。この機能は、語句をそっくり置き換えることもできます。
  7. 常に全体の最終確認を行い、初回チェックで見逃したかもしれないミスがないかをチェックします。文章が長い場合にはセクション(章)ごとに行うのでも構いません。

自分で書いた英語論文の校正を行うのは難しいという人も心配ありません。ウェブで検索すれば、英文校正サービスを提供している翻訳会社などを複数見つけることができます。英文校正サービスは、論文の技巧的な正確性、書式、英語の種類に応じた表記、一貫性を確認します。また、英文校正サービスは、英語が母国語ではない(ESL)著者にとっても大変役立ちます。英文校正サービスを提供する翻訳会社は、英語を母国語とする高度に専門的な分野ごとの知識を持つ英語ネイティブ人材を採用しているので、そうした会社に英文校正を依頼することは、ESLの研究者にとって素晴らしい選択と言えるのです。