文書の校正をするとき、どこから手を付ければいいか?文書の校正は面倒ですが、すべての著者にとって重要なプロセスです。校正の進め方は、個人のスタイルと、何に重点を置きたいかによって変わってきます。とはいえ、文書の校正プロセスの全体を見たとき、作業の手順にかかわらず絶対に忘れてはならない幾つかの重要なステップがあります。文章の校正ステップの詳細についての手順を確認し、さまざまな校正方法について学んでいきましょう。
文章校正とは
そもそも、文章校正とは何をすることだと思いますか。何故、文章の構成を行うのでしょうか?一般的に「校正」とは、書かれた文章における問題を修正し、間違いのない、読みやすい文章にすることです。良質な書籍や論文は、複数回の校正を経ているものです。校正プロセスの幾つかの段階(ステージ)を以下にまとめます。論文校正サービスが論文を修正する際には、ここに挙げたような質問すべて、さらに他の質問にも対応していくことが重要です。
ステージ1:コンテンツ・エディティング/サブスタンティブ・エディティング
ほとんどの校正者や校正サービス提供者は、文章の校正依頼を受けた場合、まずは文章の内容を重視する編集であるコンテンツ・エディティングもしくはサブスタンティブ・エディティングから始めます。コンテンツ・エディティング/サブスタンティブ・エディティングとは、原稿全体を見て、文章の構造、論理的な流れ(フロー)、プレゼンテーションの仕方、構成あるいは内容についての確認・修正を行うことです。多くの校正者はこの段階で、最初から最後まで読み通し、書かれていることの内容をつかみます。全体に目を通すことで、文章の構成をより明確に把握し、不十分な部分や追加説明や論拠が必要な部分を特定することができるのです。
ステージ2:コピー・エディティング/ライン・エディティング
次は、コピー・エディティングまたはライン・エディティングと呼ばれるステージです。ここでは、文章の書き方、つまり、言葉遣い、文法、スペル、大文字小文字の書き分けなどの修正に重点を置いた確認を行います。この校正プロセスを行うには、文章の各行を注意深く読み取る必要があるためライン(行)・エディティングとも呼ばれます。このプロセスにおいて校正者が言葉遣いや言い回しの明確化や確認が必要とした場合は、数回に分けて修正や確認が行われることもあります。
ステージ3:プルーフリーディング
校正プロセスの最後に行うのがプルーフリーディングです。ここでは、文章の各部が完璧であるのを確認するため、細部にまで目を通し、スペル、文法、大文字小文字の使い分け、さらに書式への準拠および文章の一貫性を確認します。優れたプルーフリーダーは、著者の名前が正確に記載されているか、“policy-maker” や“copy-editorのようにハイフンでつなげられた単語の表記が文章中で一貫しているか、見出しに適切なタイトルが付けられているなども確認します。さらに、引用の記載の不備、単語、何らかのミス、細かな書式の変更も拾い出してくれます。
計画的に校正を行うために
自分が執筆した文章に適切な校正を行うためには何をすべきなのでしょう。選択肢は幾つかありますが、その中のひとつとして校正サービスに依頼することが挙げられます。信頼できる校正サービスを探す時間や資金がない場合には、自分で校正をするか、同僚や友人に助けを求めることもできます。自分で自分の原稿の校正を行う場合には、計画的に校正作業を進めて行く必要があります。
文章の校正を行うための計画として、最初に上述のステージの実行順を決めておきます。校正サービス、あるいはプロの校正者は、従来、上に記載したステージ順(ステージ1-3の順:コンテンツ・エディティング→コピー・エディティング→プルーフリーディング)で文章の校正を行います。文章の校正では、セクションの追加や削除を伴うこともあるので、細かい技術的なミスを探す前に文章内の大きな問題を修正することによって、時間を節約することができるからです。ただ、自分の執筆した文章の校正を行う場合には、大きな変更をする前に、文章を見直して技術的なミスを確認する方が簡単なこともあります。とはいえ、執筆者によって違いがあるので一概には言えません。最も重要なことは、自分にとって適した校正プロセスを見つけることです。
文章校正チェックリスト
文章の校正をどのように実施するかにかかわらず、原稿の中で確認すべき最も重要な要素についてはチェックリストを作成しておく必要があります。下に記すチェックリストに自分で項目を追加しても良いでしょう。このリストには、コピー・エディティングおよびプルーフリーディングにおけるチェック項目を技術的要素として、コンテンツ・エディティング(サブスタンティブ・エディティング)におけるチェック項目をスタイル要素として書き出してあります。
チェック分類 | 項目 | 内容 |
技術的要素 | 文法 | 動詞と名詞は整合しているか。副詞は正しい位置に入っているか。適切な接続詞と前置詞が使われているか。 |
技術的要素 | スペル | 文章は米語もしくは英語のどちらで記述されているか。スペルは正確か。認識されにくい同音異義語(to, too, twoなど)の間違いはないか。 |
技術的要素 | 引用符と句読点 | どの引用スタイル(書式)に準拠しているか。米語か英語のどちらで書かれたものか。書式や英語の種類によって、一重引用符または二重引用符を用いるべきか、カンマとピリオドは引用符の内側/外側に記載すべきかが異なるが、適切に書かれているか。 |
技術的要素/スタイル要素 | 文章の構造 | 受動態ではなく能動態で書かれているか。文章の主題は明確か。文章が長すぎたり、複雑すぎたりしていないか。各文にひとつの考えが記載されているか。 |
スタイル要素 | 論理的流れ(フロー) | 文章の段落には意味付けられているか。議論は論理的に流れで示されているか。読者が内容の流れを簡単につかむことができるように書かれているか。 |
スタイル要素 | 段落(パラグラフ)の構成 | それぞれの段落はトピック文章で始まっているか。次の段落にスムーズに続く文章で終わっているか。段落から段落へのつながりはスムーズか。 |
技術的要素 | 動詞の時制 | 文章の時制(過去/現在/未来)は整合しているか。事象がどの時点で発生したか明確に書かれているか。 |
技術的要素/スタイル要素 | 単語の使い方 | 適切な文脈で単語を使用しているか。新しい言葉や専門用語は明確な説明が付けられているか。文章は届けたい読者層に合わせたレベルで書かれているか。 |
技術的要素 | 引用スタイル | 引用スタイルには、引用文献や参照文献のリストの記載方法に留まらず、見出し、文章の構造、句読点、大文字小文字の使い方に関する指示なども含まれているが、これらの書式を順守しているか。 |
技術的要素 | 大文字小文字、ハイフンの使い方 | 単語の大文字小文字の使い分け、ハイフンの使い方は論文全体で一貫しているか。必要な単語は大文字で書かれ、その表記は一貫しているか。 |
自分の論文を自分で編集するとしても、校正サービスに依頼するとしても、校正プロセスのステージを理解しておくことは、執筆作業にも役立ちます。校正サービスに依頼する場合には、簡単にネットで探し出すことができます。ただし、いずれの場合であっても校正プロセスを省略しないようにしましょう。