執筆者であればプルーフリーディングの重要性はご存じでしょう。どんなに素晴らしい執筆者であれ間違いを犯しますし、優秀な編集者(エディター)でも読者がすぐに気づくような些細な誤りを見落とす可能性は捨てきれません。そのため、プルーフリーディングは執筆、校正および出版のプロセスにおいて重要なステップのひとつです。プルーフリーディングとは一般的に、技術文書の記載が正確であるようにテキストの見直しを行うものです。英語のプルーフリーディングでは、文中のスペル、グラマー、句読点の使い方、さらには書式に至るまで完璧なものに仕上がるようにチェックを行います。とはいえ、文書の種類は多種多様なので、プルーフリーディングの進め方にも違いが出てきます。プルーフリーディングにはさまざまな種類があり、それぞれを的確に行うために要するスキルにも違いがあります。ここでは、プルーフリーディングの種類とそれらの使い分けについてまとめます。
アカデミック・プルーフリーディング
最初に、アカデミック・プルーフリーディングを見てみましょう。学術関係者や研究者にはよく知られていますが、学術出版物にもいくつかの種類があり、スタイルや出版場所(プラットフォーム)が異なっています。学術関係者は、学術雑誌(ジャーナル)記事、研究論文、卒業論文、あるいは単に一般的な研究プロジェクト文書まで、さまざまな文章を書いていることでしょう。文章のタイプが違えばプルーフリーディングの進め方も変わってきます。
どのような出版物であれ、プルーフリーディングを行う場合、MLA(現代語学文学協会)、APA(アメリカ心理学会)、シカゴといった引用スタイルの差異を詳細な部分まで明確に理解しておく必要があります。学術出版物のプルーフリーディングでは、引用された文献の記載の出版年の後ろにコンマを付けるのかピリオドを付けるのか、指定書式に厳密に従わなければなりません。また、引用した文献を一覧にして記載するセクションの見出しを「Reference(参考文献)」とするのか「Works Cited(引用した文献やサイトに関する情報のまとめ、または引用文献見本)」と書くのかも知っておかなければなりません。スペルや文法の確認に加え、アカデミック・プルーフリーディングでは、以下のような項目を確認する必要があります。
- 見出しと各セクション/章の書式を、どのスタイルに準じて記載するか(MLA、APA、シカゴなど)
- アメリカ英語で書かれた論文中のヨーロッパの組織名をイギリス英語で表記するのか、またはアメリカ英語の表記とするか
- 法律を引用するとき、あるいは化学式を記入するときに、括弧と文字の間にスペースを入れるかどうか
- スタイルガイドで指定されている図表の書き方に準じているか
- 脚注の示し方はガイドラインに準じているか
これらは、論文、ジャーナル記事、研究プロジェクト文書のプルーフリーディングにおいて確認しなければならない項目のほんの一部に過ぎません。アカデミック・プルーフリーディングは、専門業者が提供するプルーフリーディングの中でも利用者の多いサービスです。論文を出版するためには、正確なスペル、文法、引用の書き方などすべてが不可欠である上に、研究者は定期的に論文を発表する必要があるので、このサービスの需要が高くなっているのです。さらに、英語を母国語としない人(ノンネイティブスピーカー)の多くが、自分達の研究を国際的なジャーナルに発表する際に英語のプルーフリーディングを必要としています。自国で簡単にプルーフリーディングを頼める英語を母国語とする人(ネイティブスピーカー)が見つからない場合、ノンネイティブスピーカーは対象文書に必要な注意を払いつつ、専門分野の識者が作業をして自分の研究成果を確実なものに仕上げてくれるプルーフリーディングサービスに作業を依頼します。
翻訳とバイリンガル・プルーフリーディング
次は翻訳された文書について考えてみます。翻訳された文書にプルーフリーディングは必要でしょうか。端的に言えば、翻訳された文章には、もともと英語で書かれた文章とは異なる間違いが入り込みがちです。英語で書かれた文章のプルーフリーディングであれば、they’re/their/thereの混在や、toとtooの誤用などの英文ライティングにおける一般的な間違いを重点的に確認します。一方、翻訳された文章のプルーフリーディングは、バイリンガル・プルーフリーディングとも呼びますが、スペル、文法、句読点の使い方などに加えて、翻訳されたテキストが原文のテキストと一致しているかを確認する必要があります。そのため、バイリンガル・プルーフリーディングを行うには、両方の言語の深い知識が必要な上、翻訳において起こりがちな一般的な翻訳ミスや不適切な言い回しなどにも注意を払いつつ作業を進めなければなりません。また、原文の言語からターゲット言語に翻訳された際に起きてしまった文法規則などの間違いを見つけ出して修正することも行います。表記上の修正、例えば、韓国語ではタイトルや見出しを大かっこ[]で囲むのが一般的ですが、英語ではかっこで囲わず、太字もしくは下線付きで記載するといった違いへの対応も含まれます。バイリンガル・プルーフリーディングによる文章の見直しが必要な場合には、翻訳された文書のプルーフリーディングサービスをネット検索してみると良いでしょう。多数見つかります。
印刷媒体プルーフリーディング
印刷媒体のプルーフリーディングは、プルーフリーディングの中でも最も広く知られているものでしょう。新聞社、雑誌社、書籍出版社、さらにプルーフリーディングサービス提供会社によってこの作業が行われています。スペル、句読点の使い方、文法の間違いの確認が一般的ですが、これらに加えて、余白の取り方、テキストのサイズ、スペースの入れ方、フォントの選択といった書式設定にも特別な注意が必要です。これは、印刷媒体のコンテンツはネット上だけでなく、印刷物でもきれいに見える必要があるためです。例えば、単語と単語の間に誤ってダブルスペースが入りこんでいる場合、コンピューター画面上では分かりにくくても、印刷された場合には目立ってしまうことがあります。こうしたミスを避けるため、ほとんどの印刷媒体のプルーフリーディングでは、コンテンツのテストサンプルを印刷してから注意深く確認します。プルーフリーディングでテキストにミスがなく、書式も万全と判断された後、大量印刷に進むのです。
プルーフリーディングに必要なもの
優れたプルーフリーディングを行うには、どんな小さなミスも見逃さないように細部にまで十分な注意を払うことと、プルーフリーディングを行う言語の仕組みについて深い造詣を有していることが求められます。英語のプルーフリーディングでは、さまざまな種類の英語とスペルの技法を全般的に網羅しておく必要があります。翻訳された文書のプルーフリーディングまたはバイリンガル・プルーフリーディングでは、高品質な翻訳を確保するため、元言語とターゲット言語の両方の言語に関する深い知識と理解が必要です。アカデミック・プルーフリーディングでは、多様な引用スタイルに精通しつつ、特定の学術分野の専門家であることが求められることがよくあります。印刷媒体のプルーフリーディングでは、書式に関して鋭い感覚を持ち、コンピューター画面では見つけにくい間違いを拾い出さなければなりません。どのタイプかに関わらず、いずれのプルーフリーディングを実施する場合でも、対象の文書が出版前に可能な限り最高のバージョンであることを確実にするため、注意深く徹底的に、細部に至るまで見直しておく必要があります。プルーフリーディングサービスが必要な際には、ネットで検索してみてください。必要な専門技能を備えたプルーフリーディング提供会社がいくつか見つかるはずです。