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英語校正【論文編】AI時代に人による校正は必要か

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近年のAIの進化は凄まじく、生成AIを使えば、校正どころか文章の作成までしてくれるほどとなっています。英語校正においても利用可能なAIツールがオンライン上で多数提供されており、英語論文執筆の助けとなっています。

では、AI英語校正ツールがあれば人による英文校正は必要ないレベルに達しているのでしょうか?研究論文という特殊な文章の英語校正について、AIツールと人、それぞれによる英語校正作業のメリットとデメリットを確認してみます。

 

進化するAI英語校正ツール

TrinkaやGrammarlyのようなオンラインで利用可能な英語校正ツールが増えていますが、ChatGPTのような生成AIを英語校正に使う方法も登場し、一層選択の幅が広がっています。AI英語校正ツールに搭載されている大規模言語モデルは日々進化しており、新機能の追加やアップデートが頻繁に行われているため、ツールの性能は向上し続けていると言えるでしょう。AIツールの進化に寄与する自然言語処理モデルの開発が進むことで、より自然で流暢な表現となっていきます。

とはいえ、研究論文には専門用語や分野独特の表現が含まれることも多々あるので、ツールによって論文の英語校正に向いたものもあれば不向きなものもあり、研究分野によってはツール利用の積極性も異なるようです。AI校正ツールの比較などを参照して、自分に合ったツールを試してみることをお勧めします。

 

AI英語校正ツールのメリットとデメリット

多くの研究者は、英語論文の執筆にかかる時間を減らしたいと考えていることでしょう。特に、英語が母国語でない研究者にとって英語で研究論文を書くことは大きな障壁となります。


こうした言語面をサポートしてくれるものの1つがAIツールですが、英文校正の処理スピードやコスト削減のメリットがある反面、文脈理解の不足などのデメリットもあります。適切に活用するためには、英語校正ツールのメリット・デメリットを理解しておくことが必要です。英語校正ツールのメリット・デメリットは以下です。

 

AI英語校正ツールのメリット

  • 短時間で大量の文章の校正が可能なので作業スピードを短縮し生産性を高めることが可能
  • コストを削減できる(翻訳会社などに英文校正を依頼するのに比べツールの利用料金は低い)
  • スペルチェックなどを含む英語校正をAIツールで処理することにより、論文執筆や研究プロセスの効率化が可能となり、研究者はより研究自体に注力できる
  • 人間が見落としがちな誤りも拾い出し、改善策を提示することができる

 

AI英語校正ツールのデメリット

  • 文脈理解の不足(AIは研究分野特有の文脈やニュアンスを完全に理解することは難しい)
  • 著作権や引用に関する記載における判断はAIには難しい(著作権や引用規制といった倫理的な点は判断できない)
  • 費用(人による英文校正より安価とはいえ、オンライン上の無料ツールでは利用可能な機能や字数に制限が設けられている。有料プランの方が多機能なので、必要なプランを選択する必要がある)
  • 情報漏洩の危険性(オンライン上に文章を入力する場合は特に、秘密情報や個人情報の扱いには注意が必要)
  • セキュリティ・ポリシーへの注意(AIツールのセキュリティレベルはサービスを提供している翻訳会社などによって異なる)
  • 専門的知識が浅い(イギリス英語/アメリカ英語だけでなく、研究論文の英語校正には専門用語や引用スタイルに配慮した校正が必要。AIツールではカバーしきれない

 

AI英語校正ツールはスペルや文法のミスを瞬時に検出し、必要な修正案を提示してくれるので、効率よく短時間で英文の質を向上させることが可能です。しかし、文脈やニュアンスの理解は難しく、専門分野特有の表現も判断が難しいので、最終的には執筆者またはプロの校正者による確認と判断が必要です。メリットとデメリットを理解した上で、ご自身に最適な方法を見つけてください。

 

人による英語校正のメリット - AIでは補えないこと

英語校正ツールを活用することで、論文の校正作業を効率化し、質を向上することも可能ですが、それでも補えないことは残っています。


例えば、表記ゆれがある場合、AIは単純に表記を統一することはできても、著者が文脈によって使い分けているような例外を区別することはできません。前述のAIのデメリットとして挙げた中でも、文脈理解や表現に関しては、少なくとも現段階ではAI英語校正ツールが人の校正者の代わりとなることはできません。


経験豊富な英文校正者は、言語のミスを修正するだけでなく、文章を洗練させ、正確性を向上することができます。文章の正確性を確保することは、情報に信用性を与え、文章の説得力を高めることにもつながります。

 

  • 文脈の理解とニュアンスの把握
    校正者は、文章の文脈やニュアンスを理解できるので、同じ単語でも文脈によって意味が異なるような場合にも微妙な違いを理解して処理することが可能です

 

  • 文化的・言語的な微妙な違いの認識
    言語には文化的な背景や慣用表現が含まれますが、これらを正確に理解するには知識と経験が必要であり、AIがすべてに対処することは困難です

 

  • 論理的な整合性の確認
    校正者は誤字脱字を見つけるだけでなく、文章全体の論理的な整合性や一貫性を確認し、読者にとって分かりやすく、説得力のある文章に校正することができます

 

  • 文章の品質の向上と信頼性の確保
    校正者が、誤字や文法の誤りだけでなく、文化的、論理的にも配慮した校正を行うことで文章の品質を向上させ、読者に好印象を与え、文章の信頼性を高めることにつながります

 

また、相手が人間であれば質問することも可能です。英文校正サービスの中には、論文の英語校正を担当した校正者と直接やりとりできるものもあるので、人との信頼から得られる「安心」という付加価値があることも付け加えておきます。


このようにAIでは補えないことがある以上、AIが進化しても人による校正の重要性は依然として高いと言えます。どのような文章でも、最終的には人の目で確認することが品質を保証するために不可欠なのです。

 

AI時代の英語校正 – AIと人のハイブリッド校正

実際にAIツールを活用する研究者は増えています。その一方で、AIの英語校正を利用して自分の書いた論文の校正を行った後に、専門知識のある英語ネイティブ校正者が研究論文をレビューするサービスを使用する方も増えています。そういったサービスを利用すると、校正者が専門用語の確認だけでなく、投稿先ジャーナルの書式に合わせたフォーマットの調整や、リファレンスの書き方の確認、所定文章量(単語数)の調整などを行うことで論文の受理(アクセプト)率を効率よく高めることができるのです。


「人間による英文校正は不要だ」と極言する人もいるようですが、依然としてAIでは対応が難しいことも残っており、最終的には人(専門家)のレビューが必要と考えている研究者も多いことがうかがえます。


AIツールと人とのハイブリッド校正とする場合、ポストAI英文校正のサービスには、専門用語のチェックのみから文章全体のフォーマット調整(投稿規定のチェック)までさまざまなレベルでの選択肢が準備されているので、依頼したい内容や予算によって使い分けてみてください。
 

参考記事

英文校正のストレスを解消できるAI校正ツール8選
ジャーナルにアクセプトされる論文を書く!~英文校正が論文の品質向上に重要な理由 - エナゴの学術Diary (hatenablog.com)
【寄稿記事】生成AIがあれば、人間による英文校正は必要ないのか?

 

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