完璧な論文を書くために心血を注いだのに、見直しを始めてすぐにタイプミスを見つけたくはありませんよね。文法、スペル、句読点などの間違いは些細なものと思われるかもしれませんが、率直に言うと、こうした明らかな間違いがあることで出版物の信頼性を損なうことになりかねません。だからこそ原稿作成のプロセスにはコピー・エディティング(英文校正)が必要なのです。コピー・エディティングは、執筆した原稿を見直し、確実に間違いがないことを確認するプロセスであり、文法、句読点の使い方などを校正するものです。コピー・エディティングの目的が分かれば、このプロセスが執筆に欠かせないものであり、プロの英文校正者に任せる価値があることが理解できるでしょう。
コピー・エディティングとは
実際、コピー・エディティングとは何をするものなのか?どこに重点を置いたコピー・エディティングを行うかは、校正者(エディター)によって異なります。英語の授業で友人のエッセイのコピー・エディティングを行う場合、単純に間違った句読点の使い方やスペルミスをチェックするかもしれません。しかし、プロのコピー・エディティングサービスにマーケティングの企画書や研究論文の校正を依頼した場合には、技巧的な面だけでなく、全体のスタイルと一貫性、技術的な正確さ、書式まで含めた校正を行います。コピー・エディティングは、該当文書を可能な限り最良の状態であることを確実にするための、時間と細心の注意を要するプロセスなのです。
一般的にコピー・エディティングでは以下の点を確認します。
- 執筆技巧(スペル、文法、句読点の使い方)
- 語句の選択(適切な語句を使用しているか。説明が必要な技術的な専門用語や略語が使われていないかなど。)
- 明確性(それぞれの文章およびパラグラフで主張することが分かりやすく書かれているか。)
- スタイルと一貫性(文章全体を通して伝えるべき内容は一貫しているか。対象とする読者に対して使われているトーンや語句選択は適切か。)
- 事実確認(事実は正確で、必要に応じた引用文、引用句が示されているか。)
- ひとつの考えから次の考えへの流れ(考えを伝える流れは論理的でわかりやすいか。)
- 書式(見出しは全て大文字で書かれているか。それぞれの章の分割は適切か。フォントやスペースの入れ方、フォントサイズなどは統一されているか。)
コピー・エディティングは非常に踏み込んだ作業が必要となることもあります。誰が執筆したものなのか、誰が読むことを想定しているのか、その文章の中心となるメッセージは何なのかを考慮しつつ、文章を深く掘り下げていきます。そのためにも、校正者がコピー・エディティングを行う際には、こうした点をすべて踏まえながら進めていきます。
誰がコピー・エディティングを必要としているか
コピー・エディティングは非常に徹底的なプロセスで、さまざまな組織で採用されています。コピー・エディターがどのような位置づけにあるのかを簡単に言えば、コピー・エディター(校正者)は文章が公開される前、最初と最後に該当文書に目を通す人です。出版における門番のようなものだと考えてください。そう考えれば、出版社や報道機関がコピー・エディター(校正者)を抱えていることは理にかなっていると思えることでしょう。明らかなタイプミスや事実に誤りがある(ガーディアン紙が「Guardian」を「Gaurdian」と誤って記載するような)報道記事は軽んじられてしまうので、コピー・エディターはどのようなメディア組織でも欠かせないスタッフです。報道関係に限らず多様な種類の組織でコピー・エディティングが行われていると聞くと驚くかもしれませんが、マーケティング会社、広告会社 、法律事務所、大学、あらゆる種類の事業者は、自分達が出版・公開する文章の品質を最良にするため、コピー・エディター(校正者)を雇用しています。
最近は、たくさんの資料や文章がオンラインで常時公開されるようになっており、それとともにコピー・エディティングサービスを提供する会社も増えてきました。こうしたサービスは、学生や教授、事業者、フリーランスのライターなど、綿密な文章のチェックを必要とする人たちからの依頼を受けています。専門のコピー・エディティングサービスの多くは、学術識者からマーケティング向け広報の経験を有する人材まで、幅広い種類のバックグラウンドを有するコピー・エディター(校正者)を採用し、さまざまな顧客に応じたサービスを提供しています。
コピー・エディターに作業を依頼すると何が期待できるか
コピー・エディター(校正者)に作業を依頼するのであれば、事前に何が期待できるかを知っておく必要があります。コピ-・エディターは、対象文書が誰に向けて書かれたものなのかを知りたがるでしょう。対象文書を学術雑誌(ジャーナル)に掲載したいと思っているのか、書籍として書いたものか、ブログ記事として書いたものなのか。公開を目指す媒体もしくはプラットフォームに独自の条件などがあるかも確認してくるでしょう。APAスタイルやシカゴスタイルなど、順守すべき特定のスタイルが指定されていないか。単語の字数上限や最低文字数の指定はないか、といったことはコピー・エディティングを行う際に必要な情報です。執筆者は、原稿の中に気になっていて助言などが必要だと思う特定の部分を重点的に見てもらえるように校正者に頼むこともできます。また、言語表現や文法、スタイルと一貫性について特に注意して確認してもらうことも可能です。良い執筆者であっても、体裁を整えるのが苦手な人もいます。コピー・エディターは、そうした点も助けてくれるでしょう。あなたが必要としていることがどのような作業であれ、PDF形式ではなく、編集可能な形式の原稿と、明確な指示、どこに出版する予定かといった情報をコピー・エディターに提供してください。
コピー・エディター(校正者)に原稿と指示を提供したら、彼らが一行ずつ注意深く原稿を読み、問題を見つけ出して修正してくれるのを待ちます。ほとんどのコピー・エディターやコピー・エディティングサービス提供会社は、マイクロソフトのワードの変更履歴機能を使用して文章の変更箇所が分かるように記録し、場所によってはコメントや質問を付加した状態で原稿を返送してきます。修正提案を受け入れるか拒否するかを選択し、自分が目指す質の原稿を完成するまでエディターと協業することができます。ただし、多くのコピー・エディターは初回校正後1回までのやり取り以後の作業には追加料金を求めて来ることがあるので注意しておきましょう。論文の修正に多くの作業が必要だと思う場合には、回数に制限なく校正作業のサポートが受けられるコピー・エディティングサービスを探すことをお勧めします。
もちろん、自分の書いた原稿のコピー・エディティングを自分自身で行うこともできますが、非常に厳しい作業となるでしょう。執筆者自身は、自分が何を言おうとしているのかを知っている訳ですから、実際に書かれている内容よりも優れていると錯覚する可能性は捨てきれません。プロのコピー・エディティングサービスに作業を依頼して新鮮な目で原稿を見直すことによって、自分では見つけられなかった問題の全容が明らかになることがよくあるのです。問題があったからといって、がっかりすることはありません。最終的に明確で優れた文章になればいいのです。