【専門分野】臨床医学・基礎科学など

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アン・W・ブラウン=シュミット アメリカ、コルゲート大学卒。コネチカット州、ニューヨーク州の出版社数社で、書籍編集者としての経験を積んだあと、フリーランスの英文校正者として独立。社会学、生物科学、臨床医学など、多分野を受け持てる貴重な存在。プロの校正者としての教育も受け、論文以外の医学文書にも精通。また、AMA、APA、シカゴマニュアルなど、英文作成のスタイルガイドにも詳しい。

論文は、内容だけでなく、スタイルも重視されます

履歴書には、人類学と社会学に加え、医学と看護学も専門分野と書かれていますが、医学文書と人文・芸術文書の校正のプロセスは違いますか?

私の場合、大体同じです。医学でも、社会学でも、句読法や文法の正したり、文章を読みやすくするのが重要ですから。

でも、医学文書の場合、校正中、内容について疑問がもっとたくさんわいてくると思います。医学の進歩は著しいですから、接する機会が少ない科目で知らないことがあるかもしれません。なので、表現がに明確でない箇所について、筆者にアドバイスしたり、書き直すよう促すこともあります。

社会学や人類学の原稿には、執筆者独自のスタイルが感じられますが、それに対して医学や技術文書だと、スタイルはどれも簡略でストレートな感じがします。

そのとおりですね。医学では、情報を明確に伝えるために、医学界共通の表現方法があります。だから、ジャーナル投稿用に医学論文を執筆する際は、医学ジャーナルの枠組の中で自分の考えをまとめて、一貫したスタイルを保つ必要があります。校正では、私自身のスタイルに直すのではなく、筆者のスタイルを維持するよう心がけています。ですから、特定のスタイルで書かれた専門的な内容の原稿のスタイルを、いじることはしません。文法などの間違いを訂正するだけです。

非英語ネイティブの論文を沢山校正されましたが、日本人の英語論文を校正する際、どの点を特に注意していますか?

ネイティブでない人の英語は、1文が長いことが多いです。短いほうが情報を的確に伝えやすいのですが、長い文は複数の短文で構成されていることが多く、読みにくいです。長文をいくつかの短文に切り離したほうが、要点が分かりやすい文章になります。

また、サポート情報を沢山書いてから要点を最後に加える形で、パラグラフをかなり長くしてしまう人もいます。でも、パラグラフの初めに要点を書き、サポート情報があとに続くほうが効果的です。読者はパラグラフの最初の文に注目しますから。つまり、理由をたくさん並べてから結果を述べるのではなく、結果を提示してから理由を述べたほうが、理解しやすい文書になります。

日本人が書く英語は、特に、定冠詞・不定冠詞(the、a、an)がネックです。日本語には冠詞の概念がないので、どの場合どの冠詞を使えばいいのか判断できないことが多いようです。どちらの冠詞を使うべきかという文法のルールがありますが、いつ使うべきか、いつ冠詞を省くべきかの判断も必要なので、実際自分で読み書きして判断力を付けることが大事です。

1万6千語の薬学原稿を1日で仕上げるなど、至急大急ぎの校正アサイメントを多くこなされましたが、時間に余裕のない校正は、品質はの低下しませんか?それとも、急ぎの場合は、それなりの校正方法があるのでしょうか?

私の場合、校正プロセスはいつも同じです。原稿の全体をつかまなくては、校正は無理です。いつも、原稿に一通り目を通し、筆者がどこで何を訴えようとしているのか見極めます。でも、急ぎのアサイメントでは、一層気を使います。論文の本文を半分読んで、やっと筆者の意図が見えてきた段階で、アブストラクトの意味がようやく分かることもあります。締切りに余裕のない校正では、まず初めに、原稿中の要点探しをします。そして、大事な情報を頭にしっかり入れてから、校正作業に取りかかります。

校正をすると、教養が深まりますか?

そうですね。いつも何かを学べるというのが、校正の良いことです。最終的に私たち皆を救うことになる新薬の開発についての議論などは、執筆者の努力に頭が下がります。文書の校正は間接的なサポートですが、将来役立つ大仕事に少しでも貢献していると考えると、嬉しくなります。

それが校正者になった理由のひとつですか?校正者になったきっかけは?

校正者になろうと真剣に考えたことがあるか、よく覚えていません。英語には昔から興味はありました。英文学が大学の専攻科目のひとつでしたし、本が好きで、何か書く仕事をしたいと思っていました。いろいろな科目を学ぶことが好きですし、校正で知識が広がります。だから、何年経っても校正に飽きないのでしょうね。

ご自身の専門とこれまでの仕事について教えてください。

大学では、英語と社会学の両方を専攻しました。入学当時は英語だけでしたが、社会学が大好きになって、その授業も受けているうちに、2つ目の専攻科目になってしまいました!卒業後は、法律関係の出版社に3年間勤務しました。税法に関する本を出版する会社で、そっけない、あまり面白くない仕事でしたけれど。

それから、医学の出版会社に勤務するチャンスに飛びつきました。私の姉は、腎臓が専門の医師なので、私も医学や健康のことに興味を持つようになりました。だから、医学文書の校正者になることを目指すようになって、ほかの科学などの分野にも手を伸ばすようにもなりました。出版業界では、いろいろな仕事をしました。製作編集者、大手の教科書会社の管理編集者、それに開発編集者として働きました。自分のスケジュールを自分で決めたいと思うようになったときに、フリーの校正者になる決意をしました。

エナゴの校正では、リマークを使って校正の説明をしますが、このような校正者からのフィードバックは原稿の執筆者のためになりますか?

ええ、この種のフィードバックは、とても大事だと思います。特に、英語のネイティブでない著者の場合、説明なしの変更では理由を分かってもらえないので、文法のルールに基づいた変更だとか、私が以前読んだ同テーマの論文ではどう表現されていたかなど、リマークで説明ができて便利です。

本人の希望により、本名を伏せ、エディターネームを使っています。

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