論文の準備・開始・執筆の仕方

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学位論文執筆は、学部や大学院での研究の総まとめです。ここでは、研究課題を設定し、研究計画を立て、実際に研究を開始して行う際の方法を説明します。

やっておくべきこと

人間関係の構築

指導教官、副指導教官、他の学生、そのほかサポートをしてくれる人々と良好な関係を築くことが大切です。研究を続ける中で、苛立ちや挫折感を味わうことは少なくありません。相談できる相手がいることで、励みにもなり、また具体的な問題解決策を考えるヒントも得られるでしょう。例えばある実験手法で行き詰った際など、同じ問題をすでに経験した人がいればすぐに解決できるかもしれません。

学術系のネットワーク同様、事務系・技術系のスタッフと関係も大切です。そうした人々に敬意を持って接すれば、力を貸してくれることもあるでしょう。(例えば、帰宅直前でもコピー機の設定を直してくれたりするかもしれません)。指導教官はその分野の専門知識を持ち、最新の研究状況を把握しています。定期的に1対1のミーティングを行い、研究の進捗状況について話し合い、指導やフィードバックを受けることになります。差し迫った問題がある場合は、定例の指導以外にも相談しましょう。研究室に立ち寄ったり、メールを送ったりして問題を報告します。学生の研究が上手くいくかは、指導する教官にとっても大きな問題です。ですから、差し迫った問題を抱える学生には、相談に来てもらいたいと思うはずです。

研究グループの活動への参加

セミナーやフィールドトリップ、輪講などに参加して、同じ研究科の博士課程の学生やスタッフとの関係を築きましょう。また、ソーシャルイベントにも参加しましょう。こうした機会を利用すれば、人脈作りができます。

指導教官との相性

指導教官との関係は、研究の成否において非常に重要です。研究で問題が生じた際、最初に連絡すべきなのが指導教官ですから、気持ちよく話せるようにしておく必要があります。もし、コミュニケーション上の問題があれば、できるだけ早く対処しましょう。多くの場合、教官の側では問題を認識しておらず、直接指摘される方が良いと考えるでしょう。通常は、率直に話をすることが一番の問題解決となります。例えば、十分なフィードバックを貰えていない、指図が細かすぎる、などと感じている場合には、それを素直に伝えるのです。指導教官もかつては学生だったわけですから、遠慮しすぎるのは良くないでしょう。

指導教官との関係がこじれ、自分たちだけでは解決できない場合には、副指導教官や同じ研究科の他の教員、学部長などに仲裁してもらいましょう。指導教官の変更は最終手段です。別の人に指導してもらうことになったとしても、元の指導教官とも今後の研究生活で関わりあう可能性はあります。上手く立ち回り絶縁状態になるようなことは避けましょう。

研究論文執筆の手順

リサーチ・クエスチョンを洗練する

興味のある分野を見つけたら、それを絞り込み、自分が何を研究したいのかを具体的に決めていきます。リサーチ・クエスチョンには、実用的なもの(正しく機能していないプロセスや特定のグループが直面している問題など)と、理論的なもの(評価されていない関係や対立する理論など)があります。

指導教官が、自分の研究グループの既存の研究を推し進めるため、博士課程の学生に特定のプロジェクトを担当してもらいたいと考えている場合もあるでしょう。そうでない場合は、調査が必要と思われる文献のギャップや矛盾を見出す研究や、自分のそれまでの学位論文の研究をさらに発展させた研究など自分なりのテーマを設定します。

研究計画の策定

計画の策定が、研究成功の基本です。研究計画書がすでにできている場合は、それを元に、研究のステップを決めていきます。その分野に精通するため、文献レビューを行いましょう。博士課程の研究の場合、修士論文作成の際にすでにこの作業を行っているかもしれませんが、新たに発表された論文についてはしっかりとチェックする必要があります。
S.M.A.R.T.(Specific具体的、Measurable測定可能、Achievable達成可能、Relevant/Realistic関連性があり現実的、Time Specific研究スケジュールが明確)な論文計画を立てましょう。
 

  • 具体性
    • リサーチ・クエスチョンは、漠然としたものではなく、具体的なものでなければなりません。
  • 測定可能
    • 研究結果は、現実的な方法で、その質や量を測定できるものでなければなりません。
  • 達成可能
    • 決められた期間と予算内で完遂できる研究でなければなりません。
  • 現実的
    • 自分で達成できないような目標を設定しない。リサーチ・クエスチョンの答えが導き出せる研究とします。
  • 実施可能なスケジュール
    • 実行可能なタイムラインを作成し、実行項目を具体的な日付で設定します(例:7月7日までにすべての検体を収集する)

適切な作業環境

論文を作成するためには、適切な作業環境が必要です。作業スペースには、計画を立てて論文を書き上げるためのすべてのリソース(コンピュータ、安定したインターネット接続など)があり、できるだけ気が散らないようにしてください。可能であれば、ノートパソコンに2台目のモニターを接続し、執筆中に参考文献を読めるようにしてください。そうすれば、印刷にかかる時間とコストを大幅に節約できます。コーヒーメーカーなどもあると良いでしょう。

研究のスタート

オリエンテーション

博士課程に入ると以下のようなオリエンテーションがあるでしょう。:

  • 教員、スタッフ、同じ研究科の学生との顔合わせ
  • 研究科や研究グループが開催する会議、輪講 、セミナーの詳細の説明
  • 健康と安全、作業する研究室の標準作業手順(SOP)に関するトレーニング
  • その他の関連するトレーニング(例:放射線の取り扱いについてのコース、動物の取り扱いに関するトレーニングなど)

執筆開始

論文に着手するのは早ければ早いほどよいでしょう。始める前に、助成金申請書や研究計画書などを書く必要があるかもしれません。入念に情報を読み込み、こうした書類を作成します。申請に関する内容には、論文のイントロダクションに記載するものもあります。

研究の実施

学位論文のための研究は、できるだけ早く始めましょう。最終的な結果が出るのは研究の2年目か3年目になるかもしれませんが、計画をしっかり立てれば、予備実験やパイロットスタディを早い段階で始められます。すべての実験を実験ノートに詳細に記録し、結果を分析し、すべてのデータを保存することを習慣づけます。

研究課題の変更

研究の途中で対象・課題が変わることは消して少なくありません。新しい概念やアイデア、あるいは未検証の仮説を研究するわけですから、困難なことや挫折もあるでしょう。実験技術の問題、予想外の結果、限られた予算、想定外の事態などにより、研究対象の変更を余儀なくされる場合もあります。

研究がうまくいかない

研究では、初期段階から問題に遭遇するものと思っておきましょう。問題に遭遇し、他のアプローチを探ることも研究のプロセスの一部です。また、ネガティブな結果であっても、結果は結果です。最終的には論文に活かせるかもかもしれません。

研究が計画通りに進まない時は、指導教官に相談しましょう。豊富な経験から、問題を解決するための別のアプローチを提案してくれるかもしれません。研究室の他の学生や研究者と一緒に問題を解決してみるのもよいでしょう。ブレインストーミングから最高のアイデアが生まれることもあります。

まとめ

学位論文執筆のための研究は大変ですが、研究を達成し学位を取得する喜びは何にも代えがたいものです。論文の課題を設定には時間をかけましょう。期限内に論文を完成させるためには、綿密な計画も不可欠です。また、研究を行うための承認や認証を得ていることもあらかじめ確認しておきます。良い論文を書くためのヒントや、論文校正・校閲サービスについては、当サイトをご覧ください。
 

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