動物学、畜産学

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R・ハリス イギリス在住。獣医外科学の学士を取得後、イギリス王室獣医師会の会員になる。34年間獣医としてイングランドの動物病院に勤務し、経営にも携わった。その間、複数の出版社との仕事で校正の経験を積み、2002年から本格的にフリーランスの校正業に専念するようになる。プルーフリーディングとコピー・エディティングを主に担当。

プルーフリーディングとコピー・エディティングを主に担当。

動物病院で働いた獣医さんが校正者になるとは、めずらしいですね。この職業は、校正やプルーフリーディングに活かせますか?

獣医学の知識は出版社との仕事に大いに役立ちました。STM(科学・技術・医学)のジャンルのほとんどが自分の得意領域です。イギリスで獣医学や医学を学ぶと、動物学、植物学、化学、それと物理学にある程度精通しますから。STMの出版業界でキャリアを積むことができたのも、学生時代にこのような学問の基礎知識を身に付けたからでしょうね。

履歴書によると、動物病院ではマネージメントもされていたそうですが、現在の校正の仕事に活かせるスキルは?

ええ。このような自営業(フリーの校正者)を続けていくには、企業や団体の運営に必要な能力が欠かせません。自制心、時間の有効活用、クライアントや同僚とのコミュニケーションスキル、当意即妙に頭を働かせる能力、誰の助けも借りずに意思決定する能力、仕事と遊びの良いバランスの維持など。

この数年、医学と外科学はどのように発展しましたか?それと、将来は?

この数年医学・外科学界では、治療が困難または不治とみなされる病気の治療を目指して研究されている、幹細胞のテクノロジー分野に注目が集まっています。この分野が、今日でも多くの人を苦しめている病気の治療に取り組むための一番有望な手段だと、僕は信じています。このテクノロジーが近い将来、医科学に革命を起こすことを期待しています。

ご自分の専門分野の最新の情報についていくために、何をしていますか?セミナー参加や勉強を続ける人もいますが。

獣医学や医学のジャーナルをいつも読んでいます。それと、学習会にも定期的に足を運んでいます。

個人的に関心のある医学分野は?

先ほども言いましたけれど、めざましい進展が続いている幹細胞の研究に注目しています。それと、理学療法、ホリスティック治療、作業療法といった、準医療活動にも関心があります。

校正作業で参考資料として利用するものは?

ウェブサイトのことですか?Googleで科学用語の確認はよくします。エナゴがくれた校正者用ハンドブックに載っているウェブサイトも利用しています。内容の精度の確認や、原稿にジャーナルの記事や著者名などを補足する際の情報収集のために、Pubmedのサイトにお世話になっています。それと、www.bookfinder.comも。出版文書の情報収集に便利です。

英語が第一言語でない人の原稿を扱う際、特に大変なことは?

著者の英語の質が良ければ良いほど校正作業が楽になるのは当然です。世界各地出身の人の英語のプルーフリーディングや校正をしてきましたが、言葉づかいや語句の選択に不釣合がいろいろ見られます。英語の質が悪いと校正作業のペースはがた落ちになりますよ。1文を3~4回読まないと意味をつかめないケースもありますし。最悪の場合は、素直に自分の敗北を認めて、原稿の筆者に意味を問うこともあります。

そような人たちは、学術論文の中でどのようなミスしていますか?

専門用語はかなり的確ですが、冠詞や代名詞のような短い単語の誤用が多いですね。日本人の場合、英語と日本語の違いを考えると、冠詞と動詞の時制が注意すべきエリアだと思います。少し経験を積むだけで、このような種類のミスを簡単に見つけられるようになります。良い英文にするには、ミスだけの修正にとどまらず、1文全体や文章の1部分を書き直すのも策の1つです。

論文原稿の内容を専門にしている校正者の重要性を教えてください。

今はインターネットで内容を確認できる時代ですけれど、原稿の専門分野に精通していないと校正は大変です。逆に、専門分野に精通していれば、ミスを見逃す可能性はものすごく低くなって、校正済みの原稿は完璧と言いたいぐらい良いものになるはずです。

専門性の高い原稿の対処法は?

天文学とか高度な物理学とかは僕には無理ですが、自分の専門分野であれば、専門性の高い文章は量は問題になりません。必要があれば、インターネットで得られる文献のお世話になります。

著名な出版社数社と仕事をされたそうですが、校正の仕事に役立っていますか?

どの種の職業でも同じことですが、経験を積めば積むほど、仕事の効率は上がるものです。各出版社は独自の“House Style”があるので、出版社ごとにに原稿のスタイルを替える必要がありました。ひどい時には1日に数回も!担当者は皆聡明で親切でしたから、僕がミスをしてもきちんと指摘をしてくださって、細かな修正もできました。どの案件も高レベルが要求されましたから、原稿をひとつひとつ丁寧に仕上げるよう努力しました。

仕事を学ぶのに終わりはないですよ。でも、複数の出版社との仕事が、今現在の仕事の基礎となっていると思います。

最後に、論文執筆に初挑戦する日本人研究者にアドバイスを。

できることなら、英語が堪能で、内容に精通している詳しい人に、原稿を修正してもらってください。それと、投稿先候補のジャーナルの投稿規程をチェックすることも大事です。本文やアブストラクトの語数制限とか。最後のアドバイスは、内容を論理的な構成にすること。同分野の論文をいくつか読んでみると、その学問分野で標準的と見なされている論文の「流れ」や構成が分かります。

本人の希望により、本名を伏せ、エディターネームを使っています。

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