【専門分野】 環境学・植物学など

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ロビン・M 氏 アメリカ出身。1977年、アメリカ北西部屈指の名門校・ワシントン大学大学院で植物学の博士課程を修了。1989年にハワイ大学の熱帯農学部の准教授に就任し、1993年まで植物病理学を教える。その後、環境コンサルタントに転身。アメリカ中央政府環境省やニューメキシコ州政府など、多くの政府系研究機関で環境保護プログラムの策定や環境問題についての教育・啓発活動に当たる。

長い学者生活を引退し、校正者の道に

まず、校正者になった理由を教えてください。

私はこれまで主に、研究所に勤めたり、大学で教鞭をとったりして、環境学者として働きました。今は定年を迎え、現役の研究生活から引退しています。退職後、自宅に居ながら自分のこれまでの研究人生を生かせる英文校正の仕事を選んだのは、私にとって非常に自然な流れでした。

定職ではなく、フリー校正者を選んだのはなぜですか?

私はもう、朝9時から午後5時まで働くような歳ではありません。アメリカ政府から年金ももらっていますし、もし会社などに勤めれば、高齢が原因で活躍の場が限定されるでしょう。しかし、その点フリー校正者は自由です。今は、依頼原稿をインターネットで受け取り、校正原稿をインターネットで送るといったように、オンラインで仕事ができますから、世界のどこにいても仕事ができます。旅行しながら仕事をすることもできます。そこが魅力的です。

では、英文校正者としてのキャリアは始まったばかりなのですね?

いいえ、現役の研究生活の中で、他の研究者が書いた論文を査読したり、また学生の英語論文を指導したりした期間を考慮に入れると、英文校正のキャリアは少なくとも20年以上あります。 私の専門分野は植物学ですが、環境学や農学、菌学などの隣接分野の仕事も引き受けています。

英文校正する論文は、英語ノンネイティブの執筆者とネイティブの執筆者と、どちらからの依頼が多いですか?

両方から原稿を頂いています。私のクライアントの一つがハワイ大学で、そこの研究者の出身国は、中国、日本、エジプトなどが多いです。英語を母国語としない執筆者に共通するくせは、一文が長く、複雑な構文になるということ。難解な文章は格調高いかというと、必ずしもそうではありません。主語と述語と目的語の3つをシンプルに使った文章のほうがが好ましいです。

実際、英文校正の作業はどのように行っているのですか?

私の場合、まず原稿を頂くと、一文一文の意味は脇に置いて、最初は論文全体を読み、論文の目的をつかみます。次に、段落ごとに読んでいきます。段落の冒頭には、その段落のテーマを示す一文が書かれてあるべきで、段落が変わったときには、次の段落にまた新しいテーマが盛り込まれているべきです。このルールがきちんと守られているかどうか読みます。その次に、文章の構造に着目し、執筆者の意図が明快に言い表されているか判断します。最後に、英文法や誤字脱字などの細かい部分を点検していきます。

そういった自分なりの方法論をつかめば、英語を母国語とする人なら誰でも英文校正の仕事をできるものでしょうか?

そうは思いません。言葉に対する並外れた神経の繊細さ、注意深さが必要です。この資質を持っている人はあまりいません。また、書くことが好きな人でなければなりません。人の書いた文章を手直しするのは、ただの雑用と思う人もいます。また、英文校正で私が最も気をつかうのは、執筆者の“声”を殺さないことです。執筆者の文章の個性を生かしつつ、しかし執筆者が意味するところを読者に明白にする。この両者の微妙なバランスをうまくとることは、訓練を積んだ専門家でないとできません。また、自分の専門科目の最新情報を知り、常に高い専門性を保つ必要があることは言うまでもありません。

その「高い専門性」を保つために、何か努力をしていますか?

私は一日の大半を、関連分野の著作を読むか、書くことに費やしています。ちょうど今、今年ニューヨークの出版社から出版する予定の「植物に何が起こっているか」という植物の病気診断に関する本を執筆しているところなので、関連文献を読みあさっています。この本は、植物を育てる人に役立つはずです。観葉植物から畑で育てる植物まで、あらゆる植物を対象に扱っていて、栄養障害から日光への当てすぎ、水不足や虫害に至るまで、植物の病気のすべてがわかります。私は、大好きなハイキングやバードウォッチングや庭いじりを楽しみながら、こうした執筆を続け、そして1日3~4時間英文校正の仕事をしていければ幸せだと思っています。そんな人生を送りたいです。

本人の希望により、本名を伏せ、エディターネームを使っています。

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