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泉 康雄 教授 インタビュー 後編

April 4, 2024
5 Minutes

各大学の研究室に訪問し、研究者たちにおける英語力向上の可能性を探るインタビューシリーズ。千葉大学の泉康雄教授にお話を伺いました。後編では、英語で「発信する力」を養うことの大切さについてお話くださいます。


※本ページのコンテンツは、研究支援エナゴの「わが研究室の英語学習法」から転載しています。コンテンツに記載のある所属先や役職名はインタビュー実施当時(2016年)のものです。

■ 研究者としての英語力向上には何が大事だと思われますか。

英語の勉強だけでいえば基本的には語彙や表現の学習から始めればいいと思いますが、研究者は英語で論文を書く必要があるので、サイエンスの英語の勉強が6割ぐらい、残りの4割ぐらいで一般的な英語を勉強していく必要があると思います。そうして、語彙力・表現力が身についてくれば、口頭発表はなんとかできるようになると思います。


学生や若手の研究者が初めて英語論文を書くときは、一緒になって書いていきます。いきなり英語で書くのが難しければ、まずは日本語で書かせることもあります。それを少しずつ英語に翻訳していって骨組みを作り、図表などで幹を作って、太い枝、細い枝を作っていく。そういった作業が、英語で論文を書く際の一番基本的な学習かと考えています。

■ 若い研究者の方が書かれて、先生が添削されるということでしょうか。

添削というより共同で作るような感じですね。実験の内容についてはもちろん当人にしかわからないことがありますが、その背景で私が支えられる部分もありますから。大学全体、もしくは大学院の一部の科単位でも、ライティングやプレゼンテーションの授業をやっています。

■ 学生や若手の研究者の方が初めて英語で口頭発表されるときは、事前に練習させますか。

学生が口頭発表するときは、原稿やポスターを作成して、その内容に誤りがないかを確認するのに努力がすべて向かってしまうというのが正直なところですね。日本語では2回以上はリハーサルしますが、英語でとなるとなかなか難しいです。

■ 今後、私どものような英語の校正サービスを提供する会社に、どのような新しいサービスを求めますか。

最近、イギリス系のジャーナルで、掲載された論文についてホームページで著者が音声で概略を説明するサービスを提供するようになってきているようです。実際私もそういったものを作成したことがあり、完全に音声だけで説明しなくてはいけないので、かなりの英語力が求められます。

論文は英文校正の会社にチェックしてもらっているのできれいな英語で書かれているのに、概略の説明は全く釣り合わない英語になってしまうこともあります。そういうときに、すでにある論文の概略を英語で作成してくれる、もしくはそれを校正してくれるサービスがあると助かります。

■ ありがとうございます。お伺いしたご意見を取り入れて、お客様が使いやすいものを作り上げていきたいと思います。最後に、若い研究者の皆様にアドバイスはありますか。

研究者は発信する力が求められます。極端な話をすれば、質問なしで一方的に話すだけという発表もありえます。ですが、大学院でもプレゼンテーションの講習はありますが、たいてい講師がずっと話しているだけです。受講者はただそれを見て聞いているだけ。頭で考えるだけではなく、実践が大事だと思います。


東京工業大学にいたころ英語で授業をしたことがありますが、留学生は喜んでくれた一方で、日本人からはわからないと言われてしまったことがあります。国際学会で同じことを話しても通じていたので、私の英語が極端に悪かったとは思えません。わからないから勉強するようになってくれた学生もいるとは思いますが、日本人の英語力不足を実感しました。


自分の考えの流れをまとめて書く、話す。みんな大学受験をくぐり抜けて、さらに研究まで進んだ方々なのですから、英語を実際に使う機会をもっと増やせば、英語力はもっともっと向上すると思います。

後編では、英語で「発信する力」を養うことの大切さについてお話くださいます。

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泉 康雄(いずみ やすお)教授

千葉大学 大学院理学研究院 教授

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