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誤訳を防ぐために気をつけたいこと4つ

今回は、自分の研究論文の英訳を依頼するとき、どうしたら誤訳を防ぐことができるかを少し考えてみたいと思います。下記に誤訳の予防策として気をつけたいことを4点にまとめました。
(1)専門知識を明確に説明すること
研究論文を他の人に翻訳してもらう場合、まず大切なのは、その論文翻訳に必要な専門ジャンルの知識レベルを、相手に明確に説明するということです。論文の内容によっては、その分野に関し浅く広い知識を持った翻訳者が適した場合もあれば、ある事項に関してより深い知識が要求される場合もあります。現在の学問は細分化がきわめて進んでおり、自身の専門分野について広くて深い知識を持つことは難しくなっています。同様に、ある分野を得意とする翻訳者のなかでも、その領域に関して研究者を越えるような広くて深い見識がある人などそうそういるものではありません。自分の論文に必要な専門知識を自分なりにきちんと把握し、明確に説明して翻訳を依頼しましょう。また、医学論文翻訳であれば医学博士に依頼したい、といった最低限の条件を決めておくことも必要です。
(2)翻訳者との関係性は良好に
翻訳者が決まったら、翻訳者とのコミュニケーションを大いに歓迎する態度を示したいものです。とくに研究論文を書き慣れていない研究者の場合、どんなに頑張っても、複数の意味にとれてしまう文章がいくつか残ってしまうものです。翻訳者がそういった文章を見つけた際には、無理に翻訳を続けるのではなく、その時々に確認できる関係性を作っておけば、 大きな誤訳へと発展することを防ぐことができるはずです。
(3)ダブルチェックで誤訳をなくそう
もし時間と人材に恵まれていたら、一度翻訳してもらった論文を、他の人に読んでもらうと、誤訳が激減します。一度日本語を読んでしまうと、どうしてもその表現に引っ張られ、なかなか一度の翻訳では明確で正確な英文には翻訳されません。そこで、翻訳してもらった論文を、まったく新しい第三者の目を通して、英語の論文として読んでもらえれば、新鮮な視点で評価してもらえるはずです。
(4)第三者として自分の論文を再確認
そしてできることなら、ジャーナルに投稿する前に少し時間を空け、自分でも英訳された論文を一気に読み直したいものです。少し時間を空け、第三者として英語の論文を読むことで、わかりにくい表現がないか最終確認することができます。
翻訳には時間がかかるものですが、これも自己表現の大切な一歩。あせらず慌てず、慎重かつ丁寧に取り組むことが質の高い論文へにつながるのです。

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