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第3回 聞き手を引き込むストーリーを「練る」

プレゼン において、よく練られたストーリーは聞き手を離しません。たとえ英語が流暢でなくとも聞き手を引き込む威力があります。心血を注いだ研究結果を一人でも多くの人に聞いてもらうためには、データを羅列して述べるだけでは不十分です。スライド作りに着手する前に、ノートを開いて構想を練りましょう。

    1. 口頭発表とはストーリーを展開すること

聞き手を想定し内容を絞り込んだら、各要素をつなぐストーリーを入念に作り込むことが極めて重要です。この作業を経ていない研究発表が非常に多いことが学会を眠たい場にしていると言っても過言ではありません。ここでいうストーリーは‘筋書き’ですから、構想を練る際に発表の流れをチャート化することが有効です。ひとつの研究が複数の実験や試験から成る場合は特に聞き手を迷わせないストーリー展開の工夫が必要です。論文であればページをさかのぼって不明点を確認することができますが、口頭発表は過去にさかのぼることができませんので、発表者が聞き手を巧みにガイドする必要があります。

    1. ズームインからズームアウト

ストーリーを作成する際には、発表全体がズームインからズームアウトの構図を持つようにします。発表の冒頭で研究の位置づけを示す全体像を示し、研究の詳細を紹介したら、最後に研究成果の意義を示す全体像でしめくくることです。これは発表者の取り組んでいる研究が、科学的課題を広く視野に入れていることを示すために重要です。

  1. オープニングにひと工夫を

口頭発表はストーリー展開を明確にすることで格段に向上しますが、さらにオープニングにひと工夫を加えることをお勧めします。具体的にはイントロダクションの冒頭を印象的にすることです。ごく短い時間を使って、発表内容に関連する何らかのエピソードや映像を挿入することで聞き手の気持ちを発表者にぐっと引き寄せることが出来ます。質の高いプレゼンテーションで名高いTEDカンファレンスはオープニングおよびストーリー構成の参考になります。


キャラクター紹介:久里 夢存(Muzon Kuri)
日本の大学で材料工学を学び地元企業に就職するも、“独立型・移動式住居”開発の夢をあきらめきれず、再び大学でエネルギー工学を専攻。工学、生物学、建築学など多分野の研究者からなるプロジェクトチームに所属し、エネルギー自給型インフラストラクチャーフリー移動式住居[Self-Sufficient Camper(S.S.Camper)]を開発中。この度、国際住環境学会(“架空”)において同住宅の自然災害時における有用性について口頭発表することに・・。口演タイトルは、“Energy self-sufficient, infrastructure-free mobile house called Self-Sufficient Camper (S.S.Camper) provides both remote and on-site sheltering at times of natural disaster.”

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